スケーラビリティ問題とは
スケーラビリティ問題とは、ユーザーのトランザクション(取引)が集中すると処理速度が追いつかず、データ処理の遅延と処理手数料が高騰してしまう問題のことです。
データ処理の遅延
ブロックチェーン技術は、送金などのトランザクション(取引)データをブロック状に束ねて保存する仕組みです。
一つのブロックに入るデータ量は上限が決まっています。
ブロックチェーンを使うユーザーのトランザクション(取引)が短時間に集中すると、ブロックに入りきらないデータが多くなり、承認処理作業が追いつかなくなってしまい処理遅延が起きます。
手数料の高騰
処理が溜まった状態で自分の処理を早めようとすると、ブロックチェーンネットワークに参加する「マイナー」へ高い手数料を払わなければならなくなり、手数料が高騰します。
なぜ手数料が高騰するのかというと、ブロックチェーン上でのトランザクション(取引)処理をユーザー達は、お行儀良く順番待ちをしているわけではないためです。
実は手数料を多めに払うと優先的に承認処理をしてもらえます。
大混雑時には、札束の叩き合いのような状態になります。
ブロックチェーンネットワークで取引データの保管やチェックを行い、次のブロックを生成することを「マイニング」と言い、マイニングを行うユーザーのことを「マイナー」と言います。
データ容量の上限が問題ならブロックサイズを大きくしたら良くない?と思ったあなたは鋭いです。スケーラビリティの原因はトリレンマが関係しています。
スケーラビリティの原因はトリレンマ
トリレンマとは、ブロックチェーンにおける3つの概念「スケーラビリティ」「分散化」「セキュリティ」の全ては同時に実現されないことを指します。
- スケーラビリティ(データ容量の拡張性:処理速度)
- 分散化(非中央集権:特定の管理者がいないシステム)
- セキュリティ(検証力による安全性)
上記の3つのうちの必ず一つは犠牲になってしまいます。
イーサリアムは、高い安全性と分散化を重視しており、スケーラビリティ(拡張性:処理速度)を犠牲にしています。
だから処理速度が遅いのです。
現在のイーサリアムの処理速度は1秒間に6件です。マイニングは15秒ごととなっています。
ちなみにクレジットカードのVISAの処理速度は、1秒間に平均1,700件と公表されています。
トリレンマ解決の鍵はレイヤー2
3つの概念のバランスを実現するために、layer2(セカンドレイヤー)が重要になってきます。
「レイヤー2」とは、ブロックチェーン以外のオフチェーンでトランザクションを実行する技術のことを指します。
上記の図解のように、アービトラムはORU(optimistic rollup)を採用しています。
ロールアップ(巻き上げる:データをまとめる)してイーサリアム(L1)にデータを格納しているため処理速度の高速化、低コストを実現しているのです。
専門用語が出てきたので、より分かりやすく解説しましょう。
昔のイーサリアムのイメージ
上記の図解のようにたくさんのユーザーからの承認申請があるため大忙しです。
現在のレイヤー2(アービトラム)を実装後
上記の図解のように優秀な中間管理職がユーザーの承認を取りまとめてくれるのでスムーズな処理が可能になりました。
スケーラビリティ問題についての記事はここまでです。
レイヤー2とメインネットワークのシャーディング実装が実現すればイーサリアム帝国の完成に近づきます。記事を読んでくださりありがとうございました。